こんにちは。いたちです。
身近な人に介護が必要となる前に、介護サービスや介護施設の情報を知っておくと、いざという時に心の余裕が生まれます。
介護老人保健施設(以下老健)は、高齢者が健康で安心して暮らすための施設やサービスを提供する場所を指します。老健は高齢者向けの医療や介護サービス、福祉サービスが統合されていることが特徴です。
今回は、老健について分かりやすく説明します。
目次
身近な人に介護が必要となる前に知っておきたいこと【介護老人保健施設編】
老健とは、介護を必要とする高齢者の自立を支援し、家庭への復帰を目指すために、医師による医学的管理の下、看護・介護といったケアはもとより、作業療法士や理学療法士等によるリハビリテーション、また、栄養管理・食事・入浴などの日常サービスまで併せて提供する施設です。
老健の主なサービス
1.介護サービス
日常生活における身体的なサポートが必要な高齢者に対して、入浴や排泄、食事の介助などの介護サービスが提供されます。
2.医療サービス
老健では、専門の医療スタッフがおり、健康診断や検査、診療を行います。病気や怪我に対する治療だけでなく、予防医療や健康相談も行います。
3.福祉サービス
社会活動やレクリエーション、趣味活動など、高齢者の生活の質を向上させるための福祉サービスも提供されます。
4.リハビリテーション
老健では、高齢者が健康を維持し、機能の向上や維持を図るためのリハビリテーションが行われます。物理療法や作業療法、言語療法などが含まれます。
5.安全で快適な施設
老健は、高齢者が快適に過ごせるような設備や環境が整っています。バリアフリーなつくりや、防犯対策が施されていることが一般的です。
6.入居者同士の交流
老健では、入居者同士が交流できるようなプログラムやイベントが用意され、社会的なつながりが促進されます。
老健のリハビリテーション
老健におけるリハビリテーション(リハビリ)は、入居者の機能の向上や維持を目指す重要なサービスの一環です。
以下に、老健で提供される主なリハビリテーションについて説明します。
1.理学療法(Physical Therapy)
目的:入居者の身体機能や運動能力の向上、疼痛の軽減、姿勢の改善。
内容:筋力トレーニング、関節可動域の拡大、歩行訓練、バランス訓練など。
2.作業療法(Occupational Therapy)
目的:入居者の日常生活動作の向上、自立した生活ができるようになること。
内容:調理、自己ケア、家事動作の訓練、補助具の利用方法の指導など。
3.言語療法(Speech Therapy)
目的:言語、発音、嚥下などのコミュニケーション能力や嚥下機能の向上。
内容:発音矯正、言語理解の向上、嚥下訓練など。
4.リクリエーション療法(Recreational Therapy)
目的:入居者の精神的・社会的な側面をサポートし、楽しみながら機能向上を促す。
内容:趣味や娯楽活動、アートセラピー、音楽療法など。
5.認知療法(Cognitive Therapy)
目的:認知機能の維持・向上、記憶力の改善、問題解決能力の向上。
内容:記憶トレーニング、問題解決の練習、集中力の向上など。
老健のリハビリテーションは、入居者の個々のニーズに合わせたプランが立てられます。入居者の身体状態や機能の低下具合によって異なるリハビリが必要となります。
また、リハビリテーションは医療スタッフや専門のセラピストによって提供され、週に数回から毎日のように行われることがあります。
老健の入居条件と申し込み
老健への入居までのプロセスは、一般的に以下のステップに分かれます。ただし、施設によってプロセスが異なることがありますので、具体的な施設の要項や案内を確認することが重要です。
1.老健の入居者
老健に入居する高齢者は、身体的な介護が必要で、かつ医療的なケアが必要な方が対象となります。要介護認定を受け、自宅での生活が難しいと判断された方が入居対象となります。
2.要介護認定
入居を検討する方は、まず要介護認定を受ける必要があります。これは、地域の保健福祉事務所で行われ、介護の必要度が評価されます。
3.入居相談
要介護認定を受けたら、老健に入居を希望する旨を伝え、入居相談を行います。施設の担当者との面談や施設見学が行われることがあります。
4.入居審査
入居相談後、入居者の健康状態や生活スタイルを詳しく調査する入居審査が行われます。これに基づいて入居の可否が決定されます。
5.契約手続き
入居が決定したら、施設との契約手続きが行われます。契約内容や費用について詳細に説明され、必要な手続きが進められます。
6.入居
契約が完了したら、実際に入居が行われます。施設のスタッフがサポートし、新しい生活に慣れるよう援助が行われます。
老健への入居プロセスは、要介護認定から始まり、施設見学や入居相談、審査、契約手続きを経て入居という流れです。施設によっては、これらのステップが異なることがありますので、具体的な情報は希望する施設に直接問い合わせることが大切です。
費用とサービスの利用
老健の毎月の費用は、施設によって異なりますし、地域差や提供されるサービスによっても大きく変動します。一般的に、老健の費用は以下の要因によって構成されることがあります。
1.入居一時金(入居時に支払うもの)
一度きりの支払いで、施設によって異なります。建物や施設の設備、立地条件によって影響を受けます。
2.月額利用料
入居者が月々支払う利用料。これには食事、居住スペース、共用施設の利用などが含まれます。
3.介護保険料
介護保険を利用する場合、その料金が月々の費用に含まれます。介護度に応じて変動します。
4.医療・看護サービスの追加料金
特定の医療や看護サービスを受ける場合、追加料金が発生することがあります。
老健の費用に関して、具体的な金額を知りたい場合は、希望する施設に直接問い合わせるか、施設のウェブサイトやパンフレットを確認することが重要です。
全国平均の費用を正確に把握するためには、最新の情報を入手することが必要です。
老健に入居するメリットとデメリット
老健に入居することには、いくつかのメリットとデメリットがあります。ただし、これらは個人の状況や要望によって異なるため、具体的な施設の条件やサービスを考慮することが重要です。
1.メリット
専門的なケアと医療サービス:専門のスタッフが常駐し、医療や介護に関するサポートが受けられます。
定期的な健康診断や医師の診察が行われ、健康管理が徹底されます。
安全で快適な生活環境:バリアフリーな施設で、高齢者が安全かつ快適に生活できる環境が整備されています。
防犯対策が行われ、安心して生活できます。
豊富な福祉・レクリエーションプログラム:社会活動や趣味活動、レクリエーションが提供され、入居者同士の交流が促進されます。
文化的なイベントや娯楽が定期的に開催され、生活の質が向上します。
家族への負担軽減:家族が介護やサポートを担う負担が軽減され、生活の安心感が増します。
入居者は専門的なケアを受けることができ、家族は安心して生活できます。
一定のルーティンと生活リズム:施設内での定期的な活動や食事提供により、一定の生活リズムが保たれます。
規則正しい生活が、身体や精神の健康に寄与します。
2.デメリット
費用の問題:入居一時金や月額利用料が発生し、これが高額な場合があります。
介護保険や公的な支援を受けることで、一部負担が軽減されることもありますが、費用は検討が必要です。
個人の自由度の制約:施設内での生活スケジュールや規則があるため、個人の自由度が一定程度制約されることがあります。
一定の規律がある反面、個人の生活スタイルに合わせるのが難しいこともあります。
他の入居者との共同生活:他の入居者との共同生活が求められるため、性格や生活習慣の合わない場合があります。
コミュニケーションが必要であり、それが得意でない場合にストレスを感じることもあります。
施設の選定が重要:施設によって提供されるサービスや環境が異なるため、適切な施設の選定が重要です。
望むサービスや環境が提供されているかを確認する必要があります。
老健への入居は様々な要因を考慮する重要な決断です。メリットとデメリットをよく理解し、入居者や家族が希望する生活スタイルに合った施設を選ぶことが重要です。
良い老健のイメージと悪い老健のイメージ
老健の評価は個人の経験や期待によって異なりますが、良い施設と悪い施設の一般的なイメージは以下のようなものです。
1.良い老健のイメージ
質の高い医療・介護サービス:専門的で経験豊富な医療スタッフや介護スタッフが配置され、入居者に適切なサポートが提供される。
温かい人間関係とコミュニケーション:スタッフと入居者、入居者同士のコミュニケーションが活発で、温かい人間関係が築かれている。
清潔で快適な施設環境:施設内が清潔で整備されており、入居者が快適に過ごせる環境が整備されている。
多様な福祉・レクリエーションプログラム:入居者が興味を持ちやすい趣味活動や文化イベント、レクリエーションが充実している。
尊重とプライバシーの保護:入居者の尊重が行き届き、プライバシーが適切に保護されている。
安全な生活環境:防犯対策や安全対策がしっかりしており、入居者が安心して生活できる。
2.悪い老健のイメージ
不適切な医療・介護サービス:医療や介護が不十分で、入居者のニーズに十分に応えられていない。
コミュニケーションの不足:スタッフや入居者同士のコミュニケーションが不足しており、孤立感が強い。
施設の不潔や設備の不具合:施設内が不潔であるか、設備が不具合が多い場合があり、入居者の快適な生活が阻害される。
プログラムの不足:興味深いプログラムやアクティビティが不足しており、入居者が退屈してしまう。
尊重やプライバシーの侵害:入居者が尊重されていない場合や、プライバシーが侵害される場合がある。
安全対策の不足:施設が適切な安全対策を講じていないため、入居者が不安や危険を感じる場合がある。
老健の評価は主観的であり、施設ごとに異なるため、入居前には施設見学やスタッフとの面談を通じて、具体的な情報を得ることが重要です。また、入居者や家族の口コミや評判も参考にすると良いでしょう。
まとめ
老健は高齢者が安心して健康で快適な生活を送るための場となっています。入居者のニーズに合わせたケアが提供され、身体的なサポートだけでなく、精神的な側面も考慮された生活環境が整えられています。
病院と在宅を繋ぐ役割を持った介護保険の施設となっています。
老健の入居を検討されている方は、事前に関連機関に相談してみましょう。
特別養護老人ホーム編はこちらからどうぞ。
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身近な人に介護が必要となる前に知っておきたいこと【特別養護老人ホーム編】
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